指板の削り直しは頻繁にある仕事です。
演奏していると、左手は常に一定のポジションを押さえますので、弦や爪が当たる部分が少しづつ摩耗していきます。
硬質な黒檀(指板の材料)でも、溝が出来ていきます。
様々な要因で溝ができるスピードには個人差がありますが、経験的には学生さんや手汗の多い人の方が早いと感じます。
きっと、汗で湿った指板が柔らかくなって削れやすくなるのでしょうね。
気づかぬうちに溝が深くなると、正しく弦を抑えているつもりでも、接触する部分が微妙に変化するので、
音が濁ったり、音程が合わなくなったりと厄介です。
指板の削り直しは、溝の出来た部分だけを削るのでは無く、指板全体の反りや丸みを整えながら削ります。
(やたらめったら削り込む事もありません。あくまでも必要最低限ですが、)
説明が難しいですが、弦は演奏中かなり複雑な振幅運動をしているので、
いい加減な削りや指板の形状だと、それも雑音やポジション感覚のズレを招くことになってしまいます。
(元々の指板の形状が悪い場合は、指板自体を交換したほうが早い時もありますが…)
丁寧に削り直すと、見た目も気持ちいいですね。
心当たりがある人は近所の専門店で聞いて、ぜひ指板の削り直しをしてみましょう。